第26回NAHAマラソン

自分自身と闘い、互いの絆を強めた5日の第26回NAHAマラソン。2万3402人のジョガーが本島 南部を舞台に、ドラマを繰り広げた。大病を押して挑戦を続ける夫妻。事故で亡くなった友人とともに走り抜いたランナー。人生のマラソンでも二人三脚を誓い 合ったカップル―。大会を支えた沿道の応援やボランティア、家族や友人の思いを胸に42・195キロを駆け抜けた。

 

 

大病越え“二人三脚”

石垣の玉城律・町子さん夫妻

リハビリ実る  

手を取り合い完走  

 

「最後まで弱音は吐かなかった。偉いと言ってあげたい」「ありがとう」。石垣市から参加した玉城律 (おさむ)さん(54)、町子さん(53)夫妻=自営業=は、手と手をしっかり握り合ってゴール。昨年3月に脳出血で倒れ、約5カ月に及ぶ入院を経験した 律さんはフルマラソン初挑戦で初完走を果たした。  律さんは昨年8月の退院前から、町子さんと公園で歩く練習を開始。言語と記憶にわずかな障がいが残ったが、同9月には早くも走る練習をスタートさせた。3年前からマラソンを始めていた町子さんは「(律さんは)練習のたびに速くなって、私より速くなった」と笑う。  だが、練習は十分ではなく、21キロすぎから足が悲鳴を上げることは予想できた。23キロ地点で律さんの足がつってしまったため、町子さんが姉に迎えの連絡を入れようとしたら、律さんがまた走りだしていた。 ペースを点検  律さんの姿を見て、町子さんもペースをチェックしながら誘導を再開。地図に書き込んだペース配分を参考に、着実に歩を進めた。  奥武山陸上競技場のゲートに滑り込んだのは制限時間のわずか10分前。手をつなぎ、ゆっくり歩いてゴールイン。6時間8分の長いランだった。  律さんはメダルを眺め、顔をほころばせながらも「疲れた」と一言。町子さんには「ありがとうと言いたい」と照れくさそうに笑った。  町子さんは「本当にうれしい。来年は石垣島でハーフを走りたい」。  二人三脚の挑戦が続く。

 

沖縄タイムス 2010年12月6日号より